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伝説の名前衛ヨンドンさんに聞いてみた

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アニョハセヨ。パ~ト2。

NTT西日本広島の堀です。

今回も脱線ついでに韓国遠征で感じたこと【番外編その2】として進めさせてください。




韓国遠征から無事に帰ってきました。
 
NTTの選手たちもチーム単独で海外遠征というのは初めてでしたので、大会初日が終わるまではとてつもない緊張感が漂っていました。

通訳さんが「日本選手はとっても静かだね~」と言っていたくらいです。

私もこの韓国遠征を、かなり緊張した状態で迎えていましたし、世界一の強豪国である韓国に選手たちがどう立ち向かっていくか、どこまで通用するか、何が通用しないか、とても楽しみにしていました。


●韓国遠征で選手たちに伝えたこと

選手には大きく2つのことを遠征前の練習から言っていました。
 
  • 「韓国は全チーム強い。初戦からその日のMAXを出し切れるように。」
  • 「70点の無難なプレーはいらない。0点か100点で良い、自分の今持てる全てをぶつけよう。」

前回記事でも述べたように、韓国は全チームがプロです。毎日朝から夕方まで練習をし、ソフトテニスを職業としている集団です。
 
私は初戦負けもあり得ると思っていました。ですから選手には初戦から決勝のつもりで体と気持ちを作ってほしい。と伝えました。

また、環境の違いや緊張で思ったようなプレーが出来ないかもしれない。だけど本調子の80%しか出ないとして、気落ちしたり、勝負から逃げたりして40%・50%しか力が出せないのではなく、100%が出せないのなら80%で良い、その日のMAXを出し切ろう!と伝えました。

迷った時、逃げたくなった時、ミスした次のポイントほど、足を動かし攻撃性をもってプレーしよう!と。


●自分の現役時代を振り返ると・・・

私は現役時代、大舞台になればなるほど力を発揮することが出来なかった選手でした。
 
その1つの原因として、「その場から逃げてしまいたいほどの緊張感」を感じたとき、それに真摯に立ち向かえなかったことが挙げられます。
 
たとえば、準決勝、決勝まで進むと「ここまでよく頑張ったよ。負けても誰も自分を責めないさ。」「勝っても負けてもいいじゃない、よくやったよ」と自分自身の心の中で思い出したりするのです。
 
「勝っても負けても良いじゃなか」というのは聞こえは良いのですが、これは指導者や応援者が激励として声をかけるのはまだ良いのですが、選手自身が思い始めると、たいていの場合「負け」につながります。
 
ハッキリ言ってしまえば、これは選手の逃げなのです。これは日本の選手に多いような気がします。

韓国の選手は生活がかかっていますから、「良いプレーをしたから満足」では済まないのです。勝たなければクビなるかもしれないから、勝たなければ満足しないのです。

そんな韓国選手たちと試合が出来る最大のチャンス、土壇場で怖い・逃げたい気持ちは必ず出てくる。その時に「勝ち負けは気にしない」という綺麗事で自分自身をごまかさないように、無難なプレー・当たり障りのないプレーに逃げないようにしよう!という思いを選手に伝え大会に臨みました。


●伝説の名前衛ヨンドンさんに聞いてみた

そんなことを話しながら初日を戦ったわけですが、選手は「その日のMAX!」を十分に発揮してくれて、初日を2連勝で終えることが出来ました。
 
緊張感も徐々にとれ、普段の明るい雰囲気にも戻りつつありました。

その日の夜に、韓国の副会長の招待で夕食に出掛けたのですが、そこには伝説の名前衛、ユウ・ヨンドンさんもいらっしゃいました。

ヨンドンさんは現在、農協女子チームのコーチ。日本でいえばNTTOBの中堀・高川組と同年代で、国際大会でしのぎを削った間柄です。私は実際に生でプレーを見たことはないのですが、中堀さん曰く、「打つところがない」そうで、中堀さんも一度しか勝てなかった相手です。あの、日本で長年トップだった中堀さんをしてでも歯が立たなかったという伝説的選手とカルビをつつきながら(笑)お話しできました。

「日本は国際大会で韓国に勝てませんが、差は何だと思いますか?」と答えてくれないだろうな・・・と思いつつ単刀直入に聞いてみました。(もちろん通訳さんを通して)
すると、キッパリこういわれました。
 
「日本の選手は上手いけれども、どういうプレーをするかを常に考えている」
 
「韓国の選手は、どうすれば勝てるかというのを常に考えている。そのちょっとした差じゃないか」

と言われました。私はドキッとしました。
団体戦に向かう前に話していた内容とつながる部分もありましたし、ここまでキッパリと言われると思ってもいなかったからです。
「韓国選手は泥臭いよ。どんな形であれボールをコートに入れようとするから」

と笑っておられました。

日本で当たり前のように使われる「勝ち負けを気にするな。自分のプレーをしよう」という概念は全くと言っていいほど無いのです。生活がかかっているので絶対に勝たなければいけないのですから。
そんな出来事もありながら、団体初日の夜は更けていきました。

今回は日記みたいになってしまいました(笑)。
6回目に続きます!!



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