生徒の自主性の育て方/丸中選手の来訪
指導者の先生方は、生徒の自発的な取り組みをどのように促しているでしょうか?
なにかよい指導法があれば、教えて頂きたいくらいです。私自身が苦心しています。
なぜなら彼らの「こころ」の部分だからです。
目に見えない部分を鍛えることの指導法に正解はないような気がします。
私が意識して指導していること・・・
(1) 教えすぎないこと
(2) 自分たちで決めさせること
( 練習・練習時間・休日・団体オーダー )
この二点をいつも自問自答しています。
生徒の自主性がなくなっているときは、この指導バランスが崩れています。
すなわち、私が口を出し過ぎています。
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先日の失敗談を紹介します。
東京都の都道府県メンバー8名を決める最終選考会に、候補者40名のなかに本校から8名の選手が残りました。なんとか全国へという想いから、知らず知らずのうちに指導をしていくなかで詰め込んできたかと思います。練習内容も練習時間も指導全般、一方的であったかと思います。
選考会前日に日本代表選手団のお祝いが近くで行われたこともあり、練習は後半、彼らに任せました。指示をして明日への注意を伝えて、職員室に戻りました。その後、連絡を忘れたこともあり、急いでコートに戻ると数名が真剣に練習に取り組まずに遊んでいました。
彼らが自発的に全国に出るんだという強い気持ちが育っていませんでした。
結果は、2人が選ばれましたが、ボーダーラインにいたもう2名はマッチを取りながらも挽回されて全国への道が閉ざされました。前日の練習を考えたら当然の結果かもしれません。
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私は、「なぜ彼らがあの時間帯に意識高く取り組むことができなかったか?」自問しました。
自分たちで考え、行動をするという大切な時間を与えることをしていなかったことに気がつきました。彼らだけの責任ではありません。指導者としておおいに反省しました。
練習内容を一緒に相談したり、団体オーダーを任せたり、練習時間を決めさせたり、生徒に任せると私との方向性や考えの違いが生まれてきますが、その差を感じることも大切です。
と偉そうに書いてますが、ついつい大きな大会が近づくとそのバランスが崩れてしまうので、気をつけていきたいです。先生方はいかがでしょうか?
そして私によって詰め込まれすぎた彼らは一人の選手との出会いで大きく変わっていきます。
中央大学の丸中くんでした。
たまたま、知り合いの関係で清明学園の練習にきてくれました。
一緒に練習して、私から
「丸中くんは高校生の頃、先生が不在のときでもモチベーション高くできていた?どうだった?清明学園の生徒は、自分たちでそこができていないから、教えてもらえる?」
と声をかけました。
すると、彼が生徒に向かって
「僕は、3年間本気で日本一になりたくて頑張っていたから、先生がいてもいなくても皆で必死に取り組んでいました。」
とメッセージを伝えてくれました。
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翌日のテニスノートには、皆、感動して「また一から頑張る」というような文章が綴られていました。
そこでも、私は学ぶこととなりました。
同じ内容でも、年が近い先輩であったり、丸中選手のような素晴らしい結果を残した選手の言葉は生徒の「こころ」に落ちやすいということです。
なかなか、このような選手が来てくれることはありませんが、卒業生等に、そのような話をしてもらう機会を設けることでも、生徒の自主的な思考・行動はつくられていくというも学ぶことができました。
指導者の方々はいかがでしょうか?
ご参考になれば幸いです。
次回は、尽誠学園女子ソフトテニス部、伊加先生が考案された練習を動画とともにご紹介します。
<高橋先生 参考情報>
●ソフオン編集長が高橋茂先生の指導方法の根幹に迫る!(インタビュー記事)
[ 高橋 茂 監督 プロフィール ]
清明学園中学校 ソフトテニス部顧問
全日本アンダー17男子コーチ
[ 清明学園中学 近年の戦績 ]
(平成26年度) 全国中学校大会 男子個人戦優勝、男子団体戦出場
関東中学校大会 男子個人戦優勝・ベスト16、男子団体戦優勝
第2回国際ジュニア大会 男子シングルス優勝
過去5年間では全国出場3回、都道府県対抗10年連続出場、東京都大会・個人の優勝は10回以上