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(1/3)【Deep技術論】「後衛が打ってから動いて取る前衛技術」~西田氏インタビュー

2mai


「相手後衛が打ってから動いて取れれば負けないんですよ。」

以前に西田氏がそんなことを言っていた。西田氏とは、明治大学ソフトテニス部で主将、そして名前衛として活躍した西田ジュンジ氏(自称24歳)。「無理だろ」。私は直感的にそう思ったが、インカレ個人2位(井部/)の西田氏の弁である。「これはもう少し突っ込んで聞いてみたい話だな」と思い、インタビューすることにした。

<文中表記>
[ソ]=ソフオン編集部
[西]=西田氏

[ソ]:いつか聞いたあの話、もう一回聞かせてくれないかな?

[西]:いいですよ。「相手後衛が打ってから動いて取る」話し、ですよね。

写真 5


[西]: この考え方は、高校時代に自分なりに考えてトライしてきた理論なんです。かなりハードな練習もしました。しかし・・いきなり否定してしまってアレなんですが、「相手後衛が打ってから動いて取る」のは、正直、無理というのが今の僕の結論。でも、このやり方にトライした僕の考え方のプロセスを知ってもらうことは、前衛だけじゃなく、ソフトテニスで勝つために努力している人の役にたつと思っています。

[ソ]: そうなんだ。いきなり否定されるとは思わなかったよ(笑)。では、まず、「相手後衛が打ってから動いて取れる前衛」を目指していたときの考え方から教えてください。

[西]: このノートと、コートの図を使って説明しますね。ノート内の<基本>は一般的な考え方。<○じ>は西田の考えの部分を指します。

[図1]
J1_1

まず、基本的な前衛プレーでの足の動きが、[1]~[4]のステップ。左足[1]、右足[2]でボールに向かい、[3]でボレーヒット、[4]が送り足、というイメージ。この前提を覚えておいてください。私は高校時代に、下の【コート図1】のような前衛基礎ボレー練習に毎日取り組んでいました。

cort

[コート図1]は、クロスのランニングボレー練習ですが、通常のランニングボレーと比べてかなり遠い距離を走ってボレーをする。ボレーをスタートするポジションを見ていただけるとわかると思います。でも、スタートするタイミングは通常のポジションと一緒だぞ、みたいな(笑)。

[ソ]: え!すごい距離だけど・・・。

写真1

[西]: この距離のボレーを、通常のスタートタイミングと[1]~[4]のステップで取りに行くのは無理だ、ということでバーンと壁にぶつかるんです。この場合、よくある指導としては、[1]の最初の左足のステップを大きくしなさい、という言い方なんですが、僕の高校の場合、それでも届かない上げボールのタイミングとスピードでやらされる(笑)。

[図2]
J2


[西]: そこで[図1]と[図2]にある、【○じ(=ジュンジの略)】と書いてある部分のやり方を考えたんです。[1]で左足を送る前に、いわば[0.5]のステップを瞬時に行うんです。この[0.5]は[1]の前に行う動作という意味の[0.5]と、1歩目のステップの半分程度という意味の[0.5]と考えてください。イメージとしては右足をフワッと浮かせるように動かす感じ。訓練すればこの右足の[0.5]によって、左足[1]で動ける距離がかなり伸びるんです。すごく簡単に言うと、最初の瞬間に動ける距離が50%アップする。

 基本のステップ
  [1]=1
 応用ステップ
  [1]+[0.5]=1.5

[ソ]: なるほど・・。しかし、この動きをやるには、かなりのフィジカル(体力)が必要では?

[西]: そう、その通りなんです。書くのは簡単ですが、こんなプレーは一筋縄ではできない。僕の場合、この練習(遠距離コースボレー)だけで毎日2時間はやっていました。太モモの内側の筋肉がヤバいくらい疲労するはずです。歩けないくらい。毎日毎日やっていたら、ある時つかめて、できるようになった。

<太モモの内側の疲労が溜まる場所について説明>
写真4_2


[ソ]: なるほど!かなりの努力があったんだね。。

[西]: そうなんです。そうすると、普通のポジションでのボレーは「楽勝」といことになる。

[ソ]: もしかして、それが「後衛が打ってから動いて取れれば・・」につながる?

[西]: そうなんです。ぎりぎりまで待ってから動いてもコースに入って取れる。高校生のレベルなら、相手後衛が打ってから動いても取れるぞ、と思えてきたんですね。インハイの上位選手は別ですけど。